紀尾井ホール。指揮は田中信昭先生。ならばお客さんも集まるというもの。合唱はソリストの集まりみたいなグループで16人編成。メンバーはとても若い。
 まず女性の声が見事に統一されていて美しい。最初の日本の歌においてはそれが圧倒的な魅力となっていた。そのためなのか「荒城の月」など珍しいくらいのスローテンポで歌われ究極の合唱美を聴く瞬間に出会えた思いがあった。「からたちの花」は本日は林光さんの編曲によるものだったが、この曲の編曲は誰のものでもソロパートばかりのような気がする。
 2曲めのコダーイ「マトラの風景」が最も良い出来。コダーイは実に歌いがいのある作曲家で今日のような団体にはピッタリの選曲だった。楽しい。全開。
 反して後半のプログラムは田中ワールド。間宮芳生さんの「エチュード」と池辺晋一郎さんの「東洋民謡集」。明らかに合唱団の曲に対する共感が感じられない演奏。手拍子をしながら歌うような曲ではリズムを間違えないようにすることに神経を使いすぎ音楽が停滞、聴いていられない。手をたたく形も皆同じなのも気味が悪い。「東洋民謡集」は東混とはまるで違った間延びしたもの(特に2曲目!)。まさかそれは田中先生の衰えなのか。すごく気になるところではあった。
 ゲルハルト・ボッセさんが亡くなられた。読響とのブラームス、山崎さんとのハイドンが私が聴けた最後のもの。特にハイドン!........御冥福をお祈りいたします。
 
 
 

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