6週間のダンスレッスン 草笛光子さんのこと
 草笛さん目当てで妻と見に行ってきました。場所は池袋にあるあるすぽっと。
 お話はダンスの個人レッスンを頼んだ老夫人のもとへ若いゲイの青年がやってくる。いきなり口げんかを始めてしまう二人が6週間のレッスンを通じて理解しあっていくというもの。1幕7場という構成で、タンゴ、ワルツ、チャチャチャなどのレッスンごとに場面転換がされていく。とはいっても場所は同じ夫人のマンションの一室なのだが、場面ごとに踊りに合わせた衣装変えがあって草笛さんのドレス姿がそれは美しかった。相手役であるダンスの先生には太川陽介さん、茶髪と色黒の顔がやや違和感を覚えたが演技は合格であろう。ダンスにも余裕が感じられた。しかしながらやはり草笛さん。今の役者さんの中で彼女に匹敵する人が果たしているや否や。下町のおばあちゃんからヨーロッパの貴族まで完璧に演じわけることができる方である。どちらかならいないこともないのだろうが両方となると思い浮かばない。舞台上の存在そのものが観ている私には高貴で尊い存在で、その場にいられたことが喜びだった。大汗かいていた太川さんとは対照的に一粒の汗もかいてらっしゃらなかった草笛さん、これぞプロである。昨秋、大竹しのぶさんとのミュージカル「グレイ・ガーデンズ」を見損なった心残りを埋めてくださったのである。

コメント