東京・春・音楽祭へ行く
 〇東京国立博物館・平成館ラウンジミュージアム・コンサート
   出演   渡辺玲子(ヴァイオリン) 安藤裕子(ヴィオラ)
        横坂 源(チェロ)
 曲目  J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番より「シャコンヌ」、無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第3番
  J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988 (弦楽三重奏編曲版)
 五分咲きと言われていた上野の桜もこの2,3日の寒さで開花速度が鈍っている。さすがに人出のほうは多いのだが。国立博物館は平常展示で(カルティエ展などの小規模な特別展はあるものの)入館者は多くない。見る方には都合がいいだろう。会場に着くと11時から当日券を発売していたらしい、これはとても良いことだと思った。ラウンジはバスケットボールコートくらいの大きさで、そこに300名くらいの席が設けられていた。
 冒頭で渡辺さんが3番のパルティータの一部をカットして演奏するという旨の説明をされた。理由は時間の都合上というのだが、それで短縮されるのは6,7分だからどれだけのものなのかとは思ってしまった。そんなことを聞いたものだから「シャコンヌ」の速いテンポも時短演奏か知ら?と思ってしまう程。渡辺さんのバイオリンは最初から鳴りに鳴る。会場の音響はなかなか良い。3番のほうもテンポは変わらないが曲にあっている分自然な感じがした。
 ゴルトベルク変奏曲の演奏前にも渡辺さんがコメントされ、初めて弾くがリハーサルは素晴らしく本番も楽しみだと言われた。その言葉は最初のアリアを聴いた途端にわかった。慈しむような優しさに満ちたその演奏はこれまでいろいろな録音で聴いたどの演奏よりも素敵だった。これがやりたかったのなら前半の曲目は不要だったのではと思ったくらい。バイオリンは最後まで美しかったが、チェロが所々で大変な役割をさせられているのに見ていて初めて気づいた。本日の横坂くんは抜群のテクニックで難なく弾いていたのだが、ものすごく速いパッセージなど大変心地よいものだった。いくつかの繰り返しをしなくても全部で約一時間、少しお尻が痛くなったけれどとても良かったです。
 終演は4時、博物館の閉館にはまだ時間があったので本館の日本ギャラリーをのぞいた。やはり私には仏像の展示に惹かれる。神社仏閣でみられるものとは一味違った印象を与えられる。31日からの阿修羅展準備のため半分以上の部屋が閉められていたのは残念。でもまあまたちょくちょく来たくなった。

 

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