今日買ったCD

2004年1月25日
 毎月20日前後はレコード各社の発売日。国内盤はあまり買わなかった私も最近では格安のシリーズの中に掘り出し物があったりしてわりと買うようになった。今月もそんな中から
 ○バッハ ゴールドベルク変奏曲(弦楽合奏版)
   シトコヴェツキー(Vn)ほか
   (ワーナー WPCS 21209)
 ○ベートーベン 交響曲第6番
   ジュリーニ指揮ロスフィル
    (ユニバーサル UCCG 3601)
 ○ベートーベン 最後の3つのソナタ
   ルドルフ・ゼルキン(P)
    (ソニー RET 027 輸入盤)
 1000円ならまあ買ってみようということでシトコヴェツキーの編曲版を聞いてみた。弦楽の音が始めから冴え渡っていてこれはと思ったのもつかの間、ちゃらちゃらとチェンバロの音がするではないか。すべての曲ではないにせよチェンバロのパートがあって、蛇足という以外のなにものでもない。チェンバロも弦楽器ですよとおっしゃる方もあろうかとも思うが、少なくともバイオリン族に属する楽器ではない。なにか味の付いたご飯にさらにふりかけをかけて食べさせられるような感じで私には余計なお世話だった。音楽の表情が弦楽三重奏の録音よりもずっと豊かなのでとてもその点残念だと思った。 
 「田園」の録音は昨年話題のクライバー盤を含めて最近かなり買う機会があってこれもとても楽しみにしていました。ずいぶん長い間カタログから消えていた録音で、演奏は彼の活動最後期の遅いテンポの兆候が見え始めたころのもの。曲が「田園」だけにそれが好都合ということも言えなくないけれど、それでも一楽章のリズムのきざみなどすこし甘ったるく聞こえる。まあその分二楽章は理想的なテンポとなっていてロスフィルも大変美しい。1200円のもとはこれだけで取れるというものだ。ちなみにクライバーの田園は録音の点一部でこき下ろされていると聞く。そうなのかもしれないが、フルトヴェングラーの多くのひどい録音で鍛えられた私の耳には気にならない。
 ゼルキンの実演には縁がなかった。最初は79年の来日時、月光、熱情などの公演に行く予定だったが都合で行けなくなり泣く泣く友人に譲り、その次の来日時、確かN響で皇帝を弾いたときはどうして聞きに行かなかったのか今では理由が思い出せない。そして最後になるはずだった90年頃の公演ではサントリーホールでのこのベートーベンの最後の3つのソナタの会のチケットをしっかり確保していたのだが、彼の手の負傷によりキャンセルされてしまい、そのまま来日することなく亡くなられてしまったのだった。リマスターされたこのソナタ集は録音時期がバラバラながらとても聞きやすく良い演奏である。3つのうちで私は特に31番の一楽章などその繊細な表現にハッとさせられた。ゼルキンのベートーベンをもっと聴いてみたくなった。

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